薬用植物園の概要


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  薬用植物は人類誕生の太古から人々の病気や健康維持に利用されてきました。現在でもその重要性は変わらず、医療に直接用いられたり、医薬品の製造原料として盛んに利用されています。また新しい医薬品を開発する資源としても欠かせません。薬用植物園はこうした植物を収集・栽培し、薬学的研究や啓蒙活動を行う施設で、一般には薬草園といい慣わされています。

  本学薬用植物園は品川区荏原(えばら)にある大学キャンパス内に付設されており、約3000平方メートルの広さに薬用を中心とした有用植物約800種が栽培されています。大学構内に設置されているところから、本校学生が直接生きた教材で学べるだけでなく、都心には他にこのような施設が見られないところから、学外の方々にも広く利用されています。

  園内はおおまかに樹木園、水生植物園、標本園、野草園、温室などに区分けされ、よく知られた民間薬や漢方薬、あるいは医薬品の原料となる重要な植物が見学できます。なかには有毒植物や染料、繊維、油糧、食用などに供する植物も栽培されています。温室内には熱帯産の薬用植物が集められていますが、時にはスパイス原料やトロピカルフルーツをつけた植物を目にすることもあるでしょう。これらの植物にはいずれもラベルがつけられており、植物名や薬効・成分などが紹介されています。

  薬用植物は人類の永い歴史の中から見出されたもので、いわば人類共通の貴重な文化遺産ともいえます。本園でも、こうした先人たちの知恵と植物からの恩恵を大切に受け止めていきたいと考えています。